受賞者インタビュー
2024-2025
Tiina Itkonen
フィンランド
写真部門 単写真カテゴリー
グランプリ
ー ニコンフィルム&フォトコンテストに応募したきっかけは何ですか?
私は30年以上にわたってニコンのカメラを使い続けています。1992年に写真を学び始めた際、学校でニコンFM2を手にしたのが最初で、それ以来ずっとニコンを使ってきました。コンテストのテーマが「Inspire (インスパイア)」であると知ったとき、「Jonas (ヨナス)」という作品が真っ先に思い浮かび、この写真で応募することを決めました。
ー 受賞作品を撮った時のエピソードを教えてください。
私は、北極圏から1,000km以上北に位置する、グリーンランドでも最も人里離れた集落のひとつサヴィシヴィクで、ヨナスを撮影しました。この場所はあまりに北にあるため、冬には4か月間太陽が昇らず、夏には4か月間沈まないのです。村の人々は、「qallunaaq (カッルナーク)」―つまり外国人である私が、なぜ1か月も村に滞在しているのか不思議がっていましたが、とても親切に迎え入れてくれ、日常生活の一部に加えてくれました。地元の子どもたちは毎日のように私のところへ来てくれて、私は彼らと一緒にグリーンランド語を練習し、グリーンランドの歌を歌う時間を心から楽しみました。ある日、ヨナスがスーパーマンの衣装を着て遊びに来てくれて、そのときに彼を撮影しました。振り返ってみると、時間の95%は人を知ることに費やし、写真を撮っていたのは5%ほどだったと思います。私は、グリーンランドの人々の温かいもてなしに深く感謝しています。この場所では、いつも自分の居場所に帰ってきたような気持ちになり、これまでに何度も足を運んでいます。

ー 最近の活動について教えてください。受賞後、ご自身のキャリアなどに変化はありましたか。
現在進行中のプロジェクトでは、グリーンランド北西部に暮らすイヌイットの狩猟民とその家族の伝統的な生活を記録しています。これらの写真は現在、パリ国立自然史博物館 (Muséum national d’Histoire naturelle) およびフィンランドのVB Photography Centerで展示されています。また、2026年にソウルのK.O.N.G Gallery で開催予定の展覧会に向けた制作にも取り組んでいます。

ー あなたにとって「写真を撮る/動画を撮る」とはどういう意味を持っていますか。
写真は、物語を語り、世界を体験するための手段です。それは30年前、私をグリーンランドへと導きました。私は「海の母」の物語に心を奪われ、1995年、その物語が生まれた地であるグリーンランドへ向かう決意をしました。初めて訪れたその時から、私はグリーンランドに恋をしました。集合住宅ほどの大きさの巨大な氷山や、氷床から流れ落ちる氷河が織りなす壮大な自然。その光景に強く魅了されたのです。それから30年にわたり、私は極地の風景とそこに暮らす人々を撮影するため、定期的にグリーンランドを訪れてきました。そして、それぞれ数年にわたって取り組む3つの長期ドキュメンタリー・プロジェクトを制作してきました。

ー ニコンフィルム&フォトコンテストに応募を考えている方にメッセージをお願いします。
情熱と忍耐をもって、どうか自分を信じて取り組んでください。勝つことに執着するのではなく、自分の作品を共有する機会だと捉えてください。自分自身がワクワクし、語りたいと思える作品を応募することが大切です。たとえ審査員に選ばれなかったとしても、そのことであなたの作品の価値が下がるわけではありません。自分を突き動かし、インスピレーションを与えてくれるものを、これからも創り続けてください。


